◆ ネパール北部で発生した大規模土石流と現在の状況
2026年8月26日早朝、ネパールと中国(チベット)国境付近において、氷河の崩落を起点とする巨大な土石流と洪水が発生した。氷河の一部が高度約5,200m地点で崩れ落ち、岩塊・氷塊・泥流が一気に谷を下り、トリスリ川流域を中心に壊滅的な被害をもたらしたことが、衛星画像解析および各国の地質機関によって確認されている。 ※崩落していた箇所は衛星写真で判断できたが、氷河湖が無いため、堆石湖の決壊の可能性有
この災害により、ネパール側では(8月27日現在)300名以上の死者、1,300名以上の行方不明者(政府発表)が発生し、チベット側でも多数の行方不明者が出ている。道路・橋梁・電力施設が広範囲で流失し、特にラスワ郡・ヌワコット郡では甚大な被害が確認されている。 ※ 国境付近に点在する街、従事する人数からおよそ数万人が行方不明?と推測される。
◆ カトマンズからランタン方面へのアクセス
現在、カトマンズ北方約20kmのラスワ郡およびヌワコット郡では道路が寸断(堆積物で覆われ、架橋が流れた)され、陸路でのランタン方面への進入は不可能である。トリスリバザール(標高約400m)手前より先は進めず、従来のシヤブルベシ経由ルートは完全に閉ざされている。
そのため、ランタン渓谷へ向かうには以下の3つの代替ルートが現実的である。
① スンダリジャル → ゴサイクンド経由ルート
カトマンズ北東のスンダリジャルを起点とし、ゴサイクンドを越えてランタンへ入るルートである。 標高4,500m級の峠越えが必要であるが、3ルートの中では最も体力的負担が少ないと考えられる。
② メラマチ → タルケギャン → ガンジャラ峠 → キャンジンゴンパ
カトマンズ東方からメラマチまで車で移動し、タルケギャンを経由してガンジャラ峠を越えるルートである。 峠の標高は高く、技術的難度も上がる。 テント必携
③ パンチポカリ経由ルート
シンドパルチョーク郡のパンチポカリからランタン渓谷へ入るルートである。 景観は最高であるが、歩行距離・標高差ともに大きい。 テント必携
◆ 土石流発生の原因
現時点で専門機関の分析が進んでいるが、氷河湖決壊(GLOF)または氷河崩落による巨大デブリフローが主因であると見られる。 衛星画像では、氷河末端部の大規模崩壊と、そこから連続して発生した氷・岩・泥の流下が確認されている。
一部では、土砂崩れが河川を一時的に堰き止め、その堰止湖が破壊された可能性も指摘されている。今後、空撮による詳細解析が進めば、氷河湖決壊か堰止湖決壊かが特定される見込みである。
◆ 発生地点をめぐる論争
現在、ネパール側・チベット側双方で、 「崩壊の起点がどの氷河か」 「どの谷で最初のデブリフローが発生したか」 について議論が続いている。 衛星画像では、ランタン国立公園北側の氷河崩落が示唆されているが、チベット側ではリンデ川流域の崩壊が主因とする見解もあり、公式発表の一本化には至っていない。
議論になっている氷河湖①

議論になっている氷河湖②

ネパール・チベット国境のあるラスワガティ―(黄色の〇)は右上から押し寄せた土石流で、中国国境建物すべてを破壊し、土台だけの状態に。 一部の土石流はカイラス方面に向かう道路に向かって駆け上がった。

国境から28km先にあるシャブルベンシ(ランタントレッキングの起点)は土石流によって跡形もなく消えてしまった。

