地震の影響は全く無い! 世界で最も美しい渓谷の妖精は最高だった!

2015年春に起きたヒマラヤ大地震の影響で、可能な限り控えていたランタン地域へのトレッキング。 現地知人から復興の状態を聞きながら、今夏再びヒマラヤの女王、ブルーポピーを求めて、雨期のヒマラヤを訪れた。

大地震によってランタンリルン峰(7234m)の稜線上から、膨大な氷河と土砂崩れが起こり、氷河で削られたU字谷に点在していたランタン村(標高3300m)を直撃。 またランタン村を中心に、東西数キロにわたって崩落によって発生した爆風等で大きな被害が出た。

今回のトレッキングでランタン渓谷のトレイルとこの地でほほ笑む可憐な妖精を確認できた。 崩落による影響で一部の植生は埋まってしまったが、それ以外の問題がないことことも確認できた。 むしろツーリストの減少と家畜であるヤク(高地牛)の放牧が極端に減ったためだろうか? 記録を照らし合わせて妖精の群生地が2014年よりも増大しているように感じた。

来年も250種を超える天空の妖精を愛でるトレッキングを行い、ヒマラヤの女王「ブルーポピー」の群生地を案内したい。

今夏のトレッキングで出会えたお勧めの妖精を紹介!

ペディクラリス・クロッキー

ランタン渓谷最大のシオガマの仲間。 ペディクラリス・クロツキ-  背丈は50㎝ほどに成長。 川沿いの草むら等でみられるのだが、今夏は新たな生育場所を発見。 今まではと違う植生地で育っていたのには驚いた。

標高3700m前後でみられるケシ科の仲間。 ランタン渓谷には2種の黄色系のケシがが咲いているが、この種は小型のメコノプシス・ドゥオジーである。 今年は例年よりも開花が早かったようで、ほとんどの花は終わりかけだった。

キク科のアスター・ディプロステフィオイデス。 背丈は15cmほどだが花が大きいのが特徴である。 砂礫な草地に生えているが、通常は標高5000m近い草地で見ることが多い。

すっかり植生を減らしてしまったユリ科の仲間、トロポゴン・パリドゥス。 以前は至る所に大群落を形成し、可愛い姿でトレッカーを楽しませてくれたのだが、植生が変わったのか? ほとんど見られなくなってきてしまった。 10個前後の花を下向きに付けるのが特徴で、花の中を撮影するのが難しい、カメラマン泣かせの妖精である。

いくつかのムラサキ科の花が咲く中で、もっとも標高の高い場所でほほ笑む種。 ラシオカリウム・ムンロイ。 背丈は10㎝ほどにしか成長せず、太陽の光をいっぱい浴びようと花が真上を向くのが特徴である。

背丈が15cmほどにしか伸びない、ショウガ科のロスコエア・アルピナ。 多くの方が一瞬、ラン科の花と間違えてしまう。 稀に真っ白な花をつけるモノもある。

赤いランナーを四方に伸ばして微笑む、ユキノシタ科のサキシフラガ・ブルニノス。 3800mにあるキャンジンゴンパ周辺の砂礫な場所で見かけることが多い。 群生して咲くことも多い。

秋の到来を告げるキキョウ科の妖精、キアナントゥス・ロバトゥス。 以前は8月後半以降で多くみられる傾向だったが、今年は1ヶ月以上早く、たくさんのロバトゥスに出会った。 似種でキアナントゥス・ペドゥンクラトゥスがあるが、こちらの種ははなびらが大きく開かず、トランペットの様に咲くのが特徴。

ランタン渓谷で最も見つけにくい種の1つ、ラン科のカキランである。 正式名は不明である。 東西20㎞以上に及ぶランタン渓谷の中で、この妖精が咲いているところは、まだ一か所しか見つけられていない。

同じくラン科の妖精で、正式名が分からないスズムシソウである。 群生地は数カ所しか確認できていないのだが、他の花の成長が早いため、陰になって見つけるのが大変である。 背丈は20㎝ほどにしかならない。

草むらの中らニョキニョキと顔を出すラン科の仲間、ギムナデニア・オルキディス。 背丈は20㎝~30㎝に成長する。 標高4000mほどの高度まで見ることができるが、数は少ない。

ヒマラヤのハーブとして知られているシソ科の仲間、エルショルチジア・エリオスタキアである。 あたり一帯に爽やかな香りを漂わせ、トレッカーの疲れを癒してくれる。 紅茶に葉を入れて飲むとスッキリとした味わいを楽しめる。 背丈は10㎝~30㎝を超えるモノまで、群落を作ることも有る。