カイラス巡礼の難所ドルマラ峠を越え、足場の悪い巡礼路を下ると大きなテントで覆われた2軒の茶店。 6時間以上にわたる長かった峠の道を歩いてきた巡礼者にとって憩いの場所となっている。 かつてインダス河源流域を歩き(2013年)最初の一滴が湧き出しているところを見てきた際に立ち寄った場所で、常に巡礼者で賑わうオアシスの様な存在だ。
テントの茶店の前にはインダス河の源流部を稜線にするラム・チュー川が澱みない清流としてゆったりと流れている。 この川に沿って延々と下り、トプチェン・チュー川との合流部を過ぎたところにある岩窟のお寺、ズトゥプクゴンパは約1千年の歴史を刻む、非常に縁起の良い寺院。
巡礼者の宿坊上部に建立されているズトゥプクゴンパ
密教の教えを重んじるカギュ派の宗祖 ミラレパ
チベットで語り継がれる数多くの神の中で、特に人気があるミラレパという神は自身が行ってきた悪行を悔い改めるため、チベット全土を歩きながら厳しい修行を行い、あちこちにミラレパの足跡が残っている。 カイラスの地を訪れた際、ここにあった岩窟の中で瞑想を行ったのがきっかけで、ズトゥプクゴンパを建立。 岩窟の天井にはミラレパが修行中に残したという背中の跡があるという。 ミラレパはボン教徒ナロ・ボンチェンとカイラス山の覇権をめぐり争った場所としてもしられている有名な寺。
ズトゥプクゴンパには沢山の逸話が残るため、多くの巡礼者がやってくるのだ。
寄進されるヤクのバターで灯明が作られ、建立時から途切れることなく灯されている
等身1mほどの仏像が所せましに並ぶ
本堂の隣の部屋に祀られる神
ヨガ行者ミラレパの容姿に似たチベット僧が現れると、巡礼者は寄進しご利益を請う
カギュ派の厳しい密教の修行を行ってきた僧が唱える経は、私たちの心にしみわたる素敵な声だった
ズトゥプクゴンパの周りにはいくつかの簡易宿舎などもあるが、修行僧は私たちの泊まっている部屋にピンポイントに尋ねてきた。
修行僧の誘いでズトゥプクゴンパ内を巡り、ミラレパの瞑想した岩窟部にて経を唱える
ミラレパが当時瞑想をした岩窟部分にてミラレパのように瞑想に入った
修行僧との出会いは必然だったのか、偶然だったのか? あらゆる宗教の聖地として拝められているカイラス山を訪れたことによって、不思議なことが何度も起こるようになったのは事実である。
チベットの帽子の形が浮き出た仏跡地 巡礼者がこするバターによって変色
カイラス山一帯は殺傷を禁じるため、巡礼路の至る所で、マーモットなどの野生動物に出会える
~巡礼7~ ~巡礼9~
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