ガンジャラ峠へ続くトレイルは、6000m級の峰々横たわる氷河の水を集め、勢いよく流れ出るランタンコラーを渡る所から始まる。 十数メートルに成長した針葉樹の太い幹を数本束ね、細い糸で縛った心持たない木橋。 恐る恐る下を流れる激流を気にしながらを慎重にわたらなければならない。 雨期の増水時にはこの橋ががかる一帯、水浸しになり、時として橋ごと流されてしまうとの事。 必要な時期にだけ橋がかけられ、人々の往来があるという訳だ。

ランタン国立公園に指定されたキャンジンゴンパは、自由に土地の利用ができなくなり、自分の放牧地の中にロッジを建設することに。

背丈ほどに成長したネパールの国花、石楠花(赤や白系)の原生林の中にトレイルは延び、いくつもの生活道が複雑に交差している。 地元民でなければ分からない。これより先は村人をガイドに付けての行動を勧めする。

視界のきかない樹林の中をゆっくりと高度を上げると・・・小高い草地に出る。 草地の真ん中に延びる一本の踏み跡をたどり、ヤク(高地牛)が放牧されるカルカに出ると、夏の時期だけに使われる石積みの小屋が点在している。 ここもランタン村の放牧地(入会地)。 牛飼いとたくさんのヤクで夏の3カ月間は賑わうのだろう。

ランタン渓谷の上流部にあるランシサカルカ方面を望む。氷河が削ったU字谷が非常にきれいに残っている
低木林の中にできた踏み跡。 ヤクが何度も通った跡を歩く。

前方にはビルと10階建てのビルのような大きな岩峰があり、その左側についたジグザク道を80m弱ほど息を上げながら登り、稜線に立つ。 振り返れば、ランタンリルン峰(7100m)の真下に広がるキャンジンゴンパ村とチベットとの国境上に聳えるヒマラヤが一望でき、今までの苦労が報われる。

ランタンリルン峰の横に聳えるヤンサテンジン峰(6800m:写真中央)

稜線を少し下ったところに広がる大きなカルカ(放牧地)がガンジャラ峠へのBCとなる場所だ。 モレーン(堆積岩)が所々に転がっているが、氷河からの流れ出す水場もあり草地を選んでテントを張れば、最高な宿泊場所に様変わりするのが容易に想像できる。樹々が育たない森林限界を越えたキャンプ地。 カトマンズから運んできた燃料の灯油を使い、温かい飲み物が作られる。 手ごろな石の上に腰を掛け、頬をかすめるように吹く風にあたりながら、スタッフが作ってくれた飲み物を頂、目の前に広がる大パノラマに酔いしれる。 キャンジンゴンパ村から4時間弱の距離にある別世界に今までにない感動を覚える。

ガンジャラBCにて 適当な場所が広く、キャンプには最高である。

ゆっくりヒマラヤ頂が夕陽に照らされ黄金色に輝き始める。 だれもがテントから抜け出し、その光景に息を飲む。 東の空には夕闇が忍び寄り、澄み切ったヒマラヤの空に星の輝きが少しずつ増えていくのがわかる。
ガンジャラBC背後にある岩稜帯を望む。 高度差にして数百メートル、滑りやすい道が続く

岩稜帯上部は、ガレ場に。 高度差500mにわたって、直登に近いガレ場をジグザグと進む。

明日はBC(ベースキャンプ)の前に立ちはだかる岩稜帯、その先にある急登のガレ場越えが待っている。 トレイルの西側には登山者の間で有名なランタン山群にあるトレッキングピーク、ナヤカンガ峰が頂上部を真っ白に覆う氷河を携えて登山者の挑戦を待っている。 このピークに挑む隊は必ずガンジャラ峠の手前にHCP(4900m)を設営し、神々しく輝くナヤカンガ峰に果敢に挑戦する。

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