~ランタン渓谷・ガンジャラトレッキング③~
未だ夜が明ける前から、キッチンテント内ではスタッフが朝食の準備を始めている。 ヘッドライトの灯りを頼りに時計を見ると3:00過ぎ。 ガンジャラ峠を越えるため、ベースキャンプに連泊し、ゲストやスタッフの高度順応を行ってきた。 そして燃料である灯油と食料のデポ(事前に峠手前に運ぶ)約150kGを行って、スタッフ個々の荷物減量した状態でスタートした。
ポンゲンドプク峰西側に延びる氷河がせり出したモレーンまで、急登を3時間
テントなどの撤収はすべてスタッフに任せ、ゲストを連れゆっくりとジグザク道を上る。 途中岩場もあり、足元を注意しながら焦らず高度を稼ぐ。 太陽の光が刺し出すと、体感温度は一気に上昇し、中間着を一枚、また一枚と脱ぐ。
氷河末端のせり出した岩礫帯 この背後に氷河が延びている
ポンゲンドプク峰の西側に延びる大きな氷河 稜線直下から流れ出した氷河は長い月日をかけて、多量の土砂や岩を運び、巨大なモレーン(堆積土)を作り上げる。 ガンジャラ峠へは、この氷河末端を目印にルートがついている。
キャンジンゴンパの村、ベースキャンプが見下ろせるビューポイント
氷河末端のモレーンまでの登りを終えると、氷河脇にできたアブレーションバレーに沿ってしばし平坦な道が続く。
ランタン渓谷を見下ろす。 チベット領にある8000m峰シシャパンマ(中央)が顔を出す。
標高5000mの世界に立ち、雲海の上に輝くヒマラヤを見ながら快適に歩く。 ランタン渓谷最奥部にあるシシャパンマ峰(8012m)が見え始め、ヒマラヤの核心部を歩いている高揚感に浸る。 かつてこの地を最初歩いた日本人、百名山の生みの親、深田久弥もこの景色を見た。 当時、地図の空白部分となっていたランタン渓谷上流部を確認するために、1960年代この地を歩いたという。
※ シシャパンマ峰は8000m峰の中でも登りやすい山の一つとして、登山者の中で走られている。 登山時期は夏である。 ヒマラヤの雨季にあたる6月頃から登山シーズンを迎える。 シシャパンマが他のヒマラヤより内陸に位置するため、夏がシーズンとなり、チベット側にBCを設営して行われる。