【ラサの中心地にある最も聖なる寺院】
チベット全域からラサを目指す巡礼者はジョカン(大昭寺)を詣でることを目的にやってくる。 夜が明ける前から巡礼者がお香の煙で真っ白になったジョカン前に集い、全身を投げ出すキャンチャ(五体投地)を一心不乱に行っている。
灯明に使われるギー(ヤクのバター)の匂いと、お香の香りが混じり合い、辺り一帯は濃厚なチベットの香りが漂っている。
ジョカンの正式名はトゥルナン寺と呼ばれるが、本尊である釈迦牟尼仏(ジョ)が祀られているお堂(ラカン)が訛って、ジョカンと呼ばれるようになった。 ラサ市民にジョカンと呼べば誰もがすぐに理解してくれる。
7世紀頃、チベットの王ソンツェン・ガムポを弔うために建立したというのが定説。 しかしはっきりしたことは分からない。 チベットに嫁いだネパール人王妃ティツィッンの故郷の方角に合わせて、入り口は西を向いている。
【占いによって湖の上に建立された寺院】
ジョカンを建てる場所を定めたのは、唐から嫁いできた文成公主(占い師)だったとされる。 ジョカンのある場所はもともと湖だったため、占いによってジョカンの位置が決められると埋め立てるためにラサの北方からヤギの背中に土を載せて運んだ。ラ(La:ヤギ)、サ(Sa:土地)。つまりヤギの場所という意味がある。 ジョカンが建てられた後、ラ(Lha:神)の土地と呼ばれるようになった。
1300年以上の歴史があるジョカンは他の寺よりもパワーがあると信じられ、多くの信者が絶え間なくこの寺を詣でる。
ジョカン内は2つの建物が合体した複合寺院である。 そのため外側を巡礼した後、内側の建物内に入り、時計周りで巡礼する。
【見どころいっぱいの国宝級の仏像群】
建物に入ってすぐ左側には歓喜堂(ゲルク派の始祖ツォンカパと8人の弟子)の像が所狭しに並んでいる。 その横のラカンには阿弥陀如来像を祀ったウパーメ・ラカン(無量光堂)。 その横には薬師如来を祀る(薬師堂)がある。 次は十一面観音像がある(観音堂)があり、多くの巡礼者で拝むのが難しい。 次は弥勒御洗堂、そしてその横にはツォンカパ堂と埋めた湖を供養するオタン湖堂がある。その横のお堂は無量光堂で、その先にジョカン最大の至宝、本尊が祀られる釈迦堂がある。 巡礼者のお経の声がお堂の中で響き、群がる小さなお堂はまるで大売り出しで賑わうデパートの様な状態。 黄金に輝く釈迦牟尼仏像は釈尊の生前にベンガルで作られ、唐にわたって文成公主の嫁入りに際してラサまで運ばれたという。 以前は釈迦牟尼仏像の傍まで行くことができたが、残念ながら今は遠くから拝むことしかできない。
他にも弥勒法輪堂や獅子観音堂、歓喜仏、弥勒四処堂、南門有鏡堂と続く。また湖を埋めた際(封じた)の石があり、耳を石にあてて音を聞くと・・・ 巨大な千手観音像、弥勒菩薩、グルリンポチェの像などがある。 ジョカンに安置される仏像はすべて国宝級であるといっても過言ではない。
【専門ガイドが教える観光のポイント!】
通常ジョカン見学はポタラ宮の観光を終えた後に行われることが多い。 しかしジョカンはたくさんの巡礼者で賑わい、国宝級の仏像群を見るのに一苦労。 できることなら観光の順番を変更し、朝一番でジョカンを観光するのが良い。 じっくりと素晴らしき仏像を拝見でき、ご利益を得られること間違い無し!
備考: 入場時間が季節によって異なる 館内は写真撮影等厳禁。
参考:旅行人ノート(チベット)