ネパール・インド国境のあたりで始まった仏教。 7世紀後半、7000m級のヒマラヤを命がけで越えて伝播し、平均高度4500mのチベット大地で大きく花開いた。
チベット人が大切に懐から出してくれた、加工途中のずっしりと重たいジーストン
仏教(密教)を厚く信仰するヒマラヤの民のあいだでは「ジーストン」と呼ばれるラッキーストーンがあり、多くの者が首から吊るして身に付けている。
彼らはこの石を特に好み、チベットで産出される深紅の山サンゴ、乳白かかったトルコストーンと一緒に装飾品として大切に扱う。
ジーストンは親から子へ、子から孫へと悠久の時間を旅するチベットの秘宝そのもの。
チベット商人の中には自身のジーストンを売る者もいる
このジースートンの存在が多くの人に知られるようになったのは、かつて名古屋空港で起きた中華航空の墜落事故。
大惨事となってしまったこの事故で、生存者がジーストンを身に着けて助かったのだ。
私はゲストからジーストンのパワーについて教えていただいたのをきっかけに、ヒマラヤを歩くたび、山岳民族の首元に吊るされるジーストンが気になる。
十数年前、チベットの聖地カイラス山へ行った時、神に祈りを捧げ続けるチベットの僧侶からジーストンを譲ってもらった。
観音菩薩の模様が入ったジーストンにひもを通し、それ以来、安全と成功を願いトレッキングの時には必ず携行している。
ゲストのジーストンを虫眼鏡を使って真偽をチェックするチベット商人
チベット文化圏を歩くことがあれば、ぜひ彼らが身につけるジーストンを手に触れて、ご利益をあやかってみてはどうだろうか?