~ランタン渓谷・ガンジャラトレッキング ①~

世界で最も美しい渓谷の一つと言われるネパール・ランタン渓谷   首都カトマンズから直線で40kmほどの距離にあるため、年間を通じて多くのトレッカーが訪れる。 トレッキングの起点となるシャブルベンシ村(標高1400m)はチベット国境にもほど近く、ラサ(チベット自治区)とカトマンズを繋ぐ重要な交易路の基地としても栄えてきた。

キャンジンゴンパ村の背後に聳えるキャンジンリの丘(4200m)からランタン渓谷上流部を望む

ランタン渓谷を楽しむトレッキングは大きく分けて2つある。 ひとつはランタン渓谷を遡り、最奥の村キャンジンゴンパ(標高3800m)を目指すルート。 もうひとつは聖なる湖ゴサイクンド(標高4300m)を経て、カトマンズまで歩く通すコースである。  どちらもヒマラヤ初心者でも歩けるコースである。

キャンジンリ(4200m)全貌 村の背後からいくつものトレイルが延び、2時間ほどで登ることができる

ランタン渓谷全体の地図を広げてみると・・・ キャンジンゴンパ村を起点にカトマンズまで、一本の太いトレッキングルートが記されていることがわかる。 このルートはランタン渓谷の南側に聳えるジュガルーヒマラヤの鞍(ガンジャラパス)を越え、緑多いヘランブー地域を抜けるコースはガンジャラトレッキングと呼ばれ、ヒマラヤ上級者にお勧めしたいコースである。

シャブルベンシ村からカトマンズに至る車道(約110㎞)が無かった時代、ランタン渓谷の人たちがカトマンズへ抜けるもっとも早く着くことができる道として、またヘランブー地域の人たちとの交易・婚姻をするために作られた文化的重要なトレイルである。

キャンジンリ

キャンジンリ登頂(4200m)  村を出発して2時間でヒマラヤの絶景が仰げるビューポイントに到着

初心者でも歩ける? あえて言えば控えられた方が良い。 途中には5000mの峠を越え、無人地帯を3日間歩き通すハードなトレッキングになる。 また途中の峠は時として雪で閉ざされることがあり、山岳民族の彼らは6月~10月の数か月しか歩くことができないと口々に言う。 そのため年に数人程度(山岳民族含め)しか歩かない。 しかし、未知のヒマラヤの絶景を求める私たちには魅力あるトレイルであることは間違いない。 このトレイルをお花好きのゲストと一緒に歩いた。

キャンジンリから北に延びる一本の尾根道をたどり、途中から振り返る(4300m)。キャンジンリの上に旗がたなびく

キャンジンリからさらに1時間半、草地にできた踏み跡をたどり、標高4400mの頂上を目指す

足元を彩るリンドウ 親指サイズほどのリンドウが草地にびっしりと咲いている。

トレイルの左側はランタンリルン峰(7234m)が大きく望め、時より雪崩の轟きが谷全体に響く

ガンジャラトレッキングの成功を握るポイントは【季節】と【高度順応】

通常トレッキングと言えば、温かくなる春(3~5月前半)と、寒さが増して空気が澄みわたる秋(10月~12月前半)となるのが、ガンジャラトレッキングはこの時期は適さない。 温かく、降雪の心配が低い6月~9月頃がベストである。 というのはガンジャラ峠に雪があると・・・峠を越えることができないのである。  標高5000mを超える場所では夏でも降雪の心配があるため、9月の峠越えを狙って日本を出発した。

カトマンズからキャンジンゴンパまでの道程は多くのトレッカーの情報を参考に、ここでは割愛させていただく。

ちなみに、ランタン渓谷のトレッキングは・・・ 西から東に延びる谷を歩くため、終日にわたって太陽が照らしてくれる温かいトレイルになる。 他のネパールのトレッキングコースは南から北に連なるヒマラヤを目指すため、深い渓谷に延びたトレイルは日陰の中を歩くことが多い。

ヒマラヤに囲まれたキャンジンゴンパ村(3800m)に連泊し、しっかりと体を高地に慣らし、ガンジャラトレッキングの準備は整った・・・・

ヒマラヤトレッキング専門 サパナ