【聖山カイラスを13回巡礼を行った者だけが許される・・・】
カイラス山南面にある聖なる場所を巡る最も高貴な巡礼路、インナーコラー。 カイラス山をぐるりと時計回りに回る通常の巡礼(1周52㎞)とは異なり、カイラス山南面壁を真下を仰ぎながら巡る秘密の巡礼路がインナーコラーである。 標高5000mを越える場所に建立されたセルンゴンパからスタートし、カイラス南面のすぐそばにある南北に延びる岩稜の山ナンディーの峠を抜け、ふたたびセルンゴンパに戻るがルートだ。
インナーコラーへの巡礼は標高5000m以上の草も生えない過酷な環境の地を歩き続けることになる。 巡礼路には一切、簡易的な宿泊ができる場所は無く、岩がゴロゴロとした険しい道が続くのでチベット人巡礼者でも殆ど訪れないという。
カイラス山南壁にいくつも刻まれるの横縞のくぼみには、ディグン派(チベット4大宗派カギュ派の支派)の高僧が祀られた13基のチョルテン(仏塔)埋め込まれるように築かれ、無数のタルチョー(祈願の旗)が靡いている。 カイラス山とチョルテンを守るようにして、2つの寺院(セルンゴンパとギャンタゴンパ)が建立されているのはあまり知られていない。 2019年、めったに訪れることができないこれらのゴンパ(寺院)をはじめ、カイラスの大迫力な容姿を思う存分に望める機会に再び恵まれた。
【インナーコラーを目指す】
標高4700mにあるカイラス南面に広がる門前町タルチェン(大金)。 カイラス山を源に流れだすギャンタ・チューを遡り、標高5000mに建てられた、ディグン派のお寺、ギャンタゴンパを目指す。 カイラス山周辺に点在するお寺の中で、もっとも大きいお寺として知られ、カイラス北面を真正面に位置する場所に建てられたディラプクゴンパより荘厳である。
カイラス山の真南に延びる岩山の稜線がギャンタゴンパのすぐ手前まで延びるため、カイラス山の荘厳な姿を直接伺うことはできないが、草地を30分ほど登った稜線に立てば、巨大なカイラスの頂が目の前に飛び込んでくで来る。
寺の建立時に一緒に建てられたというチョルテンの向こうに、ギャンタゴンパが望める
当時をしのぶように建てられた同サイズのチョルテン。 形状からチャンチュブ・チョルテンと呼ばれる
ギャンタゴンパの歴史は古く、1215年ディグン派の巡礼団がこの地を訪れたことを機に始まる。 それ以来、西チベットのディグン派の拠点として、幾度の波乱な出来事に耐え、西チベットでの歴史を刻んできた。 中央チベットにあるディグンティ・ゴンパから代々の高僧がこの地に派遣され、この地を含め広範囲にわたって統治してきたという。
標高5100m、ギャンタゴンパの全容 寺の周辺には仏塔やマニ石が点在している
ギャンタゴンパは北側にあるドゥカン、そして小高い場所に立つ南のラカン(お堂)から成り立つ寺院の総称である。 周りには仏塔や歴史が刻まれた赤茶けたマニ石が整然とならび、この地が聖地だということを物語っている。
ギャンタゴンパのドゥカン。 頑丈な鍵によって本尊が守られている。 隣は僧の簡易的な宿泊施設。
3人の僧に導かれ、ほとんど知られていない、ギャンタゴンパに安置されている金色の仏像群を見せてもらうことになった。 お堂の中に置かれた大きな仏像に目が留まるが、脇で本尊を支える仏像の素晴らしさに目が釘付けにされた。 建立時に安置されたと思われる仏像は中国政府の保護を受け、ガラスケースに入れられ大切に保管されていた。
お堂の二階にある別室に安置された仏像は部屋に足を踏み入れた途端、パワーを感じた。
色褪せた仏具をみると時代長さを感じてしまう。
ギャンタゴンパを背に西の稜線に延びる草地が一本、巡礼者の道が続いている。 ここからもう一つの寺院セルンゴンパへ続く道だ。 チベット仏教を信仰している人は時計回りに歩くため、セルンゴンパからギャンタゴンパへ巡るのが正しい巡礼方法となる。 この道を通って、セルンゴンパに行きたいという気持ちはあるが、心臓の鼓動がうなり、息が上がってこれ以上の登りは無理だった。 こからセルンゴンパへのアクセスは諦めることに。 翌日再び、タルチェンから出直しすることに。
【参考記録】
タルチェン ➡ ギャンタゴンパ 2時間40分(急ぎ足) ➡ タルチェン 1時間30分
参考:旅行人ノート(チベット)
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