数千年の歴史を物語る悠久の時間が大河の様に脈々と流れてゆく中国。 この国には数多くの名勝地が点在し、常に世界中の旅行者を魅了してきた。

中国国内における禁断の地として、外国人旅行者が自由に旅行のできない中国南西部には、今なお陸路での往来を頑なに阻み続けている自然の要塞ヒマラヤが聳え、ネパールとの国境をなしている。 神々が棲むと信じられるヒマラヤは山岳民族だけでなく、登山者を惹きつける特別な場所。 ヒマラヤ登山基地となるネパールへ向かう数ある航路の中で、機窓からの景色が最も素晴らしいと断言できるのが、中国3大空港の1つがある四川省の省都、成都を経由地してネパールへ行くことだ。

1500万人を超えると言われる民が暮らす成都(標高500m)。三国志の時代には蜀の都として繁栄を続け、数多くの名将が歴史上に名を連ねた。 現在、内陸地最大の都市に発展しながら、当時の面影を残す街並みが随所で見られる遺産の宝庫。 機会があるのならば、ぷらり立ち寄って欲しい街である。

成都の西側には雲を突き抜けるように一気にそそり立つ山々、ヒマラヤが間近に迫っている。 ここを起点にアフガニスタンまで、7ヵ国にわたり、東西2400㎞に及ぶ大ヒマラヤが続いているのだ。

左奥に見える高峰がナムチェバルワ

日本の空港と比べ、けた外れの超巨大な成都空港を飛び立つこと5分、雲海の上に突き抜けた瞬間に5000m級の山並みが視界に飛び込んでくる。 その背後には更に高き白い峰々がどこまでも続いているのがはっきりと分かる。

右奥に見える尖った峰はミニヤコンガ

右側の窓からはパンダの野生保護地区で有名な6000m峰スークーニャン山群の美しい山容が手に取るように望め、左側の窓からはかつて世界で最も高いと噂され、信仰の山として拝められる7800m級のミニヤコンガ峰の鋭く尖った頂きが天を突きさしている。

中央左の山がスークーニャン 成都から最も近い場所にある6000m峰

カトマンズまで3時間、瞬きをしている時間が惜しむくらいヒマラヤ上空を飛び続けるスーパーフライトが始まるのだ。

※ カトマンズから成都に向かう際に見えるネパールヒマラヤ

成都を離陸してから直ぐに見えるヒマラヤは・・・狭義の名称で横断山脈と呼ばれ、5000~6000m峰を中心とした山々だ。 地図帳を開いてこの地を見てみると、横断山脈は南北に連なる山脈の総称であることがわかる。 インド大陸がユーラシア大陸にぶつかり、今なお西側から東側に向けて押し続けることでできたシワ(峰々の尾根)が南北に形成された山脈である。

横断山脈の5000m級の山々

西に向かって横断山脈を横切る

飛行機はカトマンズを目指して真西にとび続け、横断山脈を直角に横断して行く。 東南アジアの人々の生活に欠かせない恵みの水(イラワジ河、メコン河、メナム河)は横断山脈周辺を源流域となす。

西チベットの非開放地区を源流域にもつヤルツァンポ河

横断山脈を横切ると眼下の山々の形は大きく変わり、緩やかな丘の様な風景が続く。
はるか南にはひと際高く聳えるナムチャバルワ峰。 チベット大地に立つ巨大な屏風の様に鎮座している。 この山の麓を鋭く刻みながら流れ出すのが西チベットに源流域にもつ大河ヤルツァンポ。 カイラス山付近に源流があり、タチョー・カバプ(馬の口より流れいずる=馬泉河)とも呼ばれる。ヒマラヤの北側に沿って東に流れ、ナムチェバルワ峰の麓を回るようにして、大きく南側に流れを変えて(大屈曲して)ブラマプトラ川と名を更に変えてインド洋に注ぐのだ。

ナムチェバルワ(中央)右側から左側に向かって流れて、大屈曲する

機窓の左側からた・・・複雑な形をしたいくつもの入り江があるよう見えるにヤムドゥク湖。 ヒマラヤンブルーをした湖面は鏡の様に白き峰々を映している。 背後に聳える山々は小国ブータンと国境なし、7000mを超すチョモラリ峰の北壁がはっきりと望める。 右側の窓からはチベット自治区の都ラサも遠くに望める。 ラサの象徴と知られるダライラマの居城、ポタラ宮が小高い丘の上に主の帰りを待っているように建っている。

ヤムドゥク湖とブータンヒマラヤ(雲のかかる辺り)

ヤムドゥク湖の北側にはラサ空港が河原の中に作られている

ラサ空港滑走路(中央)、その上部にヤムドゥク湖

禁断の街 ラサ 中央にある大きな建物がポタラ宮

ゆっくりと機首が左にかじをきりながら高度を更に上げ、8000m級の峰々が聳えるチベット・ネパール国境越に備える。 左側の窓からは南北に雄大な稜線が延びる世界第三位の高峰、カンチェンジュンガ。 右側の窓からはエベレスト、ローツェ(世界第4位)、マカルー(世界第5位)、シシャパンマ(世界第14位)をはじめとする無数の切り立つ峰々が直下に望める。 ヒマラヤフライトのクライマックスの瞬間である。 ひと際高く聳えるエベレストの雄姿を東面から南西面にかけてじっくりと見ながら、ヒマラヤの玄関カトマンズ空港へ滑るように着陸する。

褐色のチベット大地から神々が棲むヒマラヤが近づいてきた

(左側の機窓)チベット側からみたヒマラヤ なだらかな丘の先に高峰が聳える

世界第3位のカンチェンジュンガ峰

短い旅行期間で思いっきりヒマラヤを楽しみたい方にお勧め! ヒマラヤ・スパーフライトで行くネパール!

お問い合わせ先:
ヒマラヤトレッキング・登山専門 サパナ
077-534-5469 または info@sapanatrek.com
担当:ヒマラヤ専門ガイド浅原