巡礼者を魅了し続ける聖地カイラス 北壁現れる!

チベット教、ボン教(土着宗教)、ヒンズー教の聖地となっているカイラスは多くの巡礼者で賑わう。 最高所であるドルマラ峠(5660m)を経て1周52㎞の巡礼路が延び、チベット人巡礼者は一心不乱にひたすら歩き続け1日でカイラス山を巡る。 家族のサポートを受けながら五体投地で巡る巡礼者は14日間かかるという。

タルボチェ内へ近づいてみると・・・柱を囲むようにして4つの巨大な香炉台が立っている

外国人旅行者は滞在地の大金(タルチェン)より車に乗せられ、タルボチェと呼ばれる場所(車で10分程度)まで移動し、そこから巡礼がスタートする。

タルボチェでは毎年5月~6月の間に、サガダワ祭り(チベット最大の祭り)のメイン会場となる所で有名だ。 多くのタルチョー(5色の旗)が一本の柱から放射状に吊るされ、囲むように無数のタルチョーで飾られているので直ぐにわかるだろう。 タルボチェの背後にある平らな高台では、今なおチベットの伝統的葬式である鳥葬が行われている。ここでは生と死が一緒に混在している。

出発の前日までに馬屋さんを通じて手配が必要

事前に手配していた馬にまたがり、馬子にひかれながらカイラス巡礼路を進む。 今ではヒンズー教徒であるインド人巡礼者も馬にまたがり、共に宿泊地であるディラプクゴンパ(5100m)を目指すのが一般的だ。

何百年にわたり無数の巡礼者の往来によって、カイラスの麓には立派な巡礼路が作られ、誰でもが気軽に歩ける。

孫の手を引きながら一日で歩き通す老婆

3人一組になって五体投地する巡礼者

家族の来世の幸せを願い、家長である父や伯父たちが五体投地をする。その姿に家族は手を合わせ神へ祈る風景がここでは当たり前の様にみられるのだ。

短い夏を謳歌する巡礼路を彩る妖精たち

巡礼路に点在する神々の足跡

祈りを捧げながら歩くカイラス巡礼路には数々の伝説や神々の足跡が点在しているのはあまり知られていない。 自然にできたとは思えない神々の足跡には信者たちの厚い祈りが捧げられ、タルチョーが飾られてその場所自体が神聖化されている。 彼らが口ずさむお経はよりカイラス全体を包み込み、より神秘性を感じさせる。

巡礼路に沿って歩くこと5時間、2つの岩峰の間からカイラス北面が望める場所に。 風にたなびくタルチョーは巡礼者すべての災いをはるか遠い場所へ吹き流していく。 神聖なるカイラスが目に飛び込んできた瞬間、心を奪われしまい、荘厳であり美しい姿に呆然と立ちすくんでしまう。

1200年代、カイラス山を対峙するように建立されたディラプクゴンパ【カギュ派】からは、修行僧が奏でる音が響き渡り、一日の終わりを告げているように思えた。

~巡礼4~   ~巡礼6~