チベット最高の聖地カイラス、目の前に現れる!

中国政府のチベット開発によって大きく変貌したサガの街を出発した車は・・・ 一路北に向かい4800mの峠を越え、カイラス山を目指してハンドルを西へ。

ヒマラヤから離れると天気は大きく異なり、青空が広がる素敵な日になる。

なだらかな山がいくつも連なる向こうに、白銀に輝くヒマラヤが遠望できるようになると、かつてネパールと交易がおこなわれてきた仲巴(トンバ)の街だ。

チベット・カギュ派の最高化身であるカルマパ17世は1999年の歳の瀬、中国政府の監視の下から密かに逃げ出し、ヒマラヤが大きく望める仲巴(ドンパ)までやって来た。 ここから変装し、いろいろな信者の力を借り、ヒマラヤの向こうにあるムスタン王国(ネパール領内にあるチベット王国)を経て、ダライラマ法王が暮らすインドへ亡命したという

昼食地となるマユム・ラ峠手前の茶店。 バスに乗って大勢で押し寄せるインド巡礼者たちもここで休憩を取り、一気にカイラス山麓を目指すのだ。

茶店の先には外国人狩りの検問所として有名なマユムラ検問所が最新設備を整え、チベットを旅する外国人の入域を厳しく管理している。

西チベットアリ地区にあるマユム・ラ峠(5211m)この先にはもう峠は無い。

 

九十九折の緩やかな峠を越えると・・・ まだまだ丘が延々と続いている。 左手には紺碧な空を湖面に映したドンツォ湖が横たわり、砂地の低い丘をぐるりと回り込むと、前方にマルサルワール湖が目に飛び込んでくる。

※マルサルワール湖:カイラス山から南東方面にある湖(4400m)

5000m級の丘に沿って広がるドンツォ湖

6664mのカイラス山(南壁)を望む

聖なる湖マルサルワール湖畔から初めてカイラスが望める。 ここはこの地を立ち寄った巡礼者たちによって飾られた無数のタルチョー【五色の旗】で彩られ、カイラス詣を祝福する。 巡礼者はこの地に着いた喜びをカイラスに向かって全身全霊で五体投地を3度行う。 チベット各地から訪れる巡礼者相手にお土産やチベット漢方を売るチベタン。 標高4600mにあるマルサルワール湖にはピンポン玉より大きいマリモが生息し、乾燥させ肝臓疾患の漢方として売られている。

カイラス南面を仰ぐ場所に築かれた門前町、大金(タルチェン:4700m)

20年前のタルチェンは警察署と宿を兼ねる小さなレストランの建物が2つだけだった。 建物を大きく囲むようにして無数の巡礼チベット人のテントが張られ、乾燥した動物の糞を燃料にして、テント内で焚火をしていた。 どのテントの上部の穴から立ち上る煙は秘境の聖地の雰囲気を醸し出していたのを今でもはっきりと覚えている。

中国政府の急速な開発によって、街はすっかり変貌した。 2008年の北京オリンピックには、聖火がエヴェレストの頂上に立つため、秘境の地チベット全土の開発が一斉に行われ、カイラス詣での道は舗装された。 月明りだけが頼りだったタルチェンの街も、街灯が整備され居住者そして巡礼者にとって非常に暮らしやすい街になった。 街の入り口には大きなバスターミナルが新設され、中国各地から長距離バスがやってくるようになった。

中国の地方都市の様な賑わいを見せる現在のタルチェン。 しかしチベットという特殊事情の中、またラサ市内より監視の目が厳しいアリ地区という場所のため、外国人旅行者の行動は常に制限されている。

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