標高5000mに近い天空の花園に咲く花々の美味しい部分だけを好む高地牛、ヤク。
一日に二度搾り出されるミルクは低地で草を食む牛に比べ、ミルクの栄養価は非常に高く、誰もがこぞって欲しがるヒマラヤの恵み。
6月~8月の後半にかけて5000mを超える場所で放牧されるヤク
チーズ作りは技師の指導の下、村人の手によって行われるため、搾乳から製品として出荷するまでに半年以上かかる。
型から取り出されたチーズは別棟にある棚でじっくりを熟成され、多くのポーターたちの支えによって、今も変わらず担がれてカトマンズに運ばれていく。
その日に採れるミルクの量によって、8~15㎏の塊として製造される
子牛が生まれる5月頃から青々とした牧草を追い求め、雲の上に広がる天空の花園を目指す。
牛飼いの荷物は数ヶ月に及ぶ必要な食料と寝具の重さで50㎏を超え、頭から吊るした紐にかけて運び上げられる。
天空の花園の中に石積みの簡易な小屋(カルカ)を建て、藁を敷いて住空間を整え、ヤクと共に雲上の生活が始スタートする。
標高4700mに広がる花園から見たヒマラヤは秋よりもたくさんの雪を被っている
朝露が付いた微笑む可憐な妖精の美味しい部分だけを選んで食べるヤクは1日中食み続け、体をさらに大きくするのだ。
搾乳するとき、牛飼いは岩塩を花園の上に撒き、広範囲に散らばっていたヤクを一斉に集めていく。岩塩をなめている間に、特徴ある曲がったヤクの角を互いに絡ませ、足首を麻布で縛ってからゆっくりと搾乳を行うのである。
一頭当たり数リットルしか取れない貴重なミルクを大きな瓶に入れて、下界にあるチーズ工場へ大切に運ぶ。
待ち構えていた技師たちは大きな瓶に入った水を薪を使って沸かし、1950年代にスイス人から教えてもらった伝統的な方法でチーズを製造する。
銅製の鍋に水を張り、2日かけて運んだ貴重な木材を使って湯を沸かす
攪拌機を使って、余分な水を取り除き、チーズだけを集めていく
型の中にチーズを入れ、両側に布をかぶせる。その上から重しを載せて余分な水分を取り除く
ネパール人チーズ技師が駐在する8つのチーズ工場で、厳しく管理されたうえでヤクチーズとして製品化されている。
・シンゴンパ(ランタン) キャンジンゴンパ(ランタン) ガラタン(ランタン) ドゥンチェ(ランタン) チョンク(ドラカ) トルン(ジリ) トドゥン(ラメチヤップ) ピケ(ソル)の8か所だけが混じりけの無い純粋なヤクのチーズが作られている。ゲストの希望に合わせて量り売りをしてくれる
味見をさせてくれるので、ついつい多めに購入してしまうローカルな人たちが作る石の様な堅いチーズ、味は素朴だが製法が異なる
1日に数キロしか作れないバター
新鮮なヨーグルトにフルーツを載せたトレッキングの朝食
チーズ以外にも、バターや油、そしてあっさりとしたヨーグルトなども作られているが。温度管理が難しいためチーズ工場から運ばれることは殆ど無いので、本物の味を楽しみたい方はぜひ、ヒマラヤのチーズ工場へ!