~ランタン渓谷・ガンジャラトレッキング⑤~

ヒマラヤに向かって湧きだすガスが周りを深く覆い、視界が悪くなってくる中、手元の時計は13時手前を指していた。 日没迄にキャンプ地であるコラカルカ(ヤングリカルカ:標高4300m)を目指さなければならない。 先頭はクライミングが歩き、ルートを作ってくれる。 私たちは足元が非常に崩れやすいガレ場の道を3点確保しながら慎重に下る。 ガレ場といっても、土砂の下は氷河があるので、クレバスにも注意しなければならない。

所々に氷河の割れ目(クレバス)が口を開いている

ナヤカンガ峰南壁にある懸垂氷河

30分ほど時間をかけてゆっくりと下り、平坦な場所に出る。 方向感覚が無くなるくらいに広いスペースをわずかな踏み跡、ケルンを頼りに進んでいかなければならない。 足元には薬草として珍重されるキク科のトウヒレンの大きな株が随所に見られる。

この地はヘランブー地域の住民が夏の放牧地として使用するため、石を敷き詰めて整備した場所も見られるが、基本的には土地勘が無いとルートファインディングを間違えてしまうだろう。

川の流れに沿ってトレイルが延びているが、時としてモレーンを登り返してザレ場を進むこともある。 思い込みで歩くと大変危険な場所である。

3時間歩き続けると、ナヤカンガ峰をはじめ、周りの5000m峰から流れ出した水が集まり、幅20mほどになった川を渡渉した先の草地が宿泊場所である。 先を歩いていたキッチンスタッフがテントを設営し、温かい飲み物を用意して待っていた。 12時間以上の長丁場のトレッキングとなったが、絶景を楽しみ、ヒマラヤの険しい峠を越えながら、宿泊地についた安堵感で満足である。

ちらし寿司、レンコンを利用したハンバーグ、具の沢山入った味噌汁、カリフラワーの醤油炒め、オクラとインゲンの胡麻和え、サラダの夕食

沢山の夕食を作ってくれたが、疲れのあまり・・・ほとんど食べずに寝てしまう。

 

翌朝、スタッフの甲高い声で目を覚まし、テントのジッパーを開け、眩しい太陽の光を受けながら絶景の世界にいることを知った。

昨日のルートを振り返る

スタッフの機転で、テーブルを外に置き、ヒマラヤを仰ぎながらの朝食となり、即席のレストランに様変わり。 キッチンスタッフが食事の給仕に忙しい。

太陽のぬくもりを感じながら、熱々のちょうしょくを頂く。 ヒマラヤに囲まれた絶景の食事に感動を覚える

キャンプ地の先からジュガールヒマラヤ(ランタン川南側のヒマラヤの総称)を望む

4名のゲストを安全にサポートするためのスタッフ(15名)たちと一緒に

8時前、コラカルカのキャンプサイトを発ち、ドルプクカルカ(4090m)を目指す

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