珍重な薬草を見つけるために迷い込んだ先にあった天空の花園 

 

カトマンズの西200㎞に位置するアンナプルナ山域。 起点となるのは亜熱帯気候の街、ポカラ。 世界でもっと最初に登られた8000m峰、アンナプルナ1峰を筆頭に東西70㎞以上に広がる大きな山域である。 アンナプルナ山群の北側には何世紀にもわたり、チベットと強い繋がりを持ち続けてきたかつての藩主国、ムスタン王国が当時の面影をそのまま残して佇んでいる。 ヒマラヤ山脈の主稜線沿いにあわせて、中国政府によって敷かれた数千キロに及ぶネ・中国境。 しかし今なおチベットとの交易が続き、チベット人を祖先に持つ人々の交流も盛んである。

長年にわたりチベット医学を学んだ高僧は『アムジ』と呼ばれる。 ヒマラヤに自生する珍重な薬草を求めて、過酷な環境下であるヒマラヤを歩き回る。 そんなあるとき、1人のアムジによって天空の花園は発見されたという。

アンナプルナ山域には、ランタン山群(カトマンズの北)同様に、沢山の薬草が生えていることが知られ、毎年夏になると薬草が育つ場所を熟知したアムジがこぞって訪れる。 秘薬の原料となる高山植物を追い求め、彼らは更なる未開の地へ足を延ばしていく・・・

ヒマラヤの本当の美しさを知るには雨季に来るべきである。

『雨季だからヒマラヤは見えない!』という人もいるだろう。  しかし標高4000mを超える雲上を歩くので、ヒマラヤが見えるのである。 この時期、秘密の花園へ至るトレイルには可憐な高山植物が250種を超える。 雲上に広がる花園近くでは、一斉に咲きほこる花の中を歩かなければ、前に進むことが出来ない。 頭上にはヒマラヤが天を突きさすように聳え、足元にはいろんな色で彩られたお花の絨毯がどこまでも続いている。

アンナプルナ山域はインド平原から吹き込む温かく湿った風をもっとも受けるヒマラヤのひとつ。 ネパール中でひときわ降水量が多い場所として知られている。 また日照時間も適度にあるため、高山植物が非常に豊富なのだ。

雨季にトレッキングに出かけるには気をつけたいことがある。 トレッか―が非常に少ないので、ロッジが営業していないことがある。 必ずロッジのオーナーに声をかけ、一緒にヒマラヤを歩くことを知っていただきたい。 現地のロッジ事情をしっかりと確認した上で、出発することを忘れないように!

 

【ネパール随一の観光地ポカラからスタート】

湖面に綺麗に映し出されるヒマラヤが印象的なポカラはカトマンズから西に200㎞にあり、誰もが気軽に訪れる標高800mでありながら亜熱帯の街である。 インド系の彫りの深い顔した住民が多く住むポカラから山にむかって足を踏み込めば、私たち日本人に近い顔立ちをしたグルン族、タマン族が伝統的な石造りの家屋で暮らしている。

アンナプルナ山域はチベットへ繋がる重要な交易路として昔から街道整備が行われ、南で採れるお米とチベット産の岩塩が、ロバ隊商によって運ばれ、数百年にわたって続けられてきた。 標高5000mを超える雲上の世界まで延びた街道は、ヒマラヤで産出する大理石を贅沢に敷き、他のヒマラヤでは見られない、素晴らしいヒマラヤ街道が延びている。

トレッカーの増加によって急ピッチで建てられたロッジの横を通り抜け、ゆっくりと高度を上げていく。 アンナプルナ連峰の展望地の村を抜け、わき道に入って行く。 立札も無い迷い易い道を抜け、標高3000m超えた場所でも樹々が育つなか、更に高度を上げると樹々は消え、可憐な高山植物がほほ笑む花園があちこちに点在し始める。

エベレスト地域で多くみられる高地に飼われる牛、ヤクも沢山おり、気持ちよさそうに寝そべりながら薬草となる草花をたらふく食んでいる。 尾根を回り込むように続くトレイルを進み、氷河を源流とするいくつもの沢を飛び石つたえに越えていく。 小さな池を囲むように広がる巨大な雲上の秘密の花園には100種を超える妖精が風に揺られながらほほ笑んでいる。 その向こうには雲海の上に聳えたつヒマラヤがはっきりと望め、ここが天空の花園であることがすぐにわかる。 花園からほど近い岩場には、ダウンジャケットを身にまとうように咲くラクビ―ボールの大きさをしたキク科の花、ワタゲトウヒレンとヒマラヤの女王の名のブルーポピーが群生している。

ヒマラヤの入り口にあたる標高1000mの世界。 無数の鳥たちの鳴き声を聞きながら、亜熱帯性の花々を愛でて歩くことになる。 イワタバコ、ラン、ツリフネソウ、ショウガ科の花やユリ科の花が中心になるだろう。

 

 

山岳民族の伝統的な佇まいを横目に、人の手入れが入っていない原生林を進んでいく。

 

標高2000m越えると、樹高20mにも育ったシャクナゲの森が広がっている。 薄暗いシャクナゲの森を足元で照らすように足元でほほ笑む沢山のお花たち。 スミレ、シソ科、キク科、ラン科の仲間たちが主役である。

更に高度を上げ、3000mを越えてくると、樹々が散生し草地も多くなってくる。 お花の種類は一気に増え、足場の踏み場もないほどに。 キク科、ゴマノハグサ科、フウロソウ科、ケシ科、オトギリソウ科、ノボタン科・・・

樹々が消え、見渡す限り高山植物に彩られた草地が、雲の中に続いている・・・

標高3800mにキャンジンゴンパにやって来ると、豊富な牧草が茂りヤク、ゾッキョが気持ちよさそうに草を食んでいる。 ランタン村の入会地には30軒ほどのロッジが所狭しに建てられている。

常にキッチンスタッフが私たちの到着に合わせて、温かい食事を準備しているのは嬉しい。 標高が高くなるにつれ食事が喉に通りづらくなる中、出汁の効いたうどんはヒマラヤ最高の食事である。

 

20数年にわたりブルーポピーを探し追い求めているが、秘密の花園でみられるブルーポピーの植生地もほんの僅かである。 例えるならば、野球場で米粒を探すようなものだ。 数年間蕾を全くつけず、ひたすら時が来るのを待ってやっと花を咲かせるブルーポピー。 天候によって咲く時期も大幅にずれることも多々有り、一番美しく微笑む妖精を探すのには、毎回一苦労する。 雌蕊が真っ黄色である妖精を見つけなければ意味がないのだ。

 

 

ブルーポピーの中でも最も高貴な花と呼ばれる種が天空の花園でひっそりとほほ笑んでいる。

今まで参加されたすべての方がブルーポピーに出会っています!

 

中級者以上にお勧めしたい、天空の花園とブルーポピーに出会えるトレッキング

 【トレッキング実施済プラン】
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※ 旅仲間に自慢できる、本物のブルーポピーに触れられる!  

1.カトマンズ ➡ ポカラ(800m)
2.ポカラ ➡ バンタンティ (2400m) ※20種の花
3.バンタンティ ➡ スワット(2200m) ※20種の花
4.スワット ➡ システィブン(2800m) ※30種の花
5.システィブン ➡ カルカ(3300m)  ※40~60種の花
6.カルカ ➡ 天空の花園(4200m)※80~110種の花
7.天空の花園  ※ ブルーポピーが見られる ※30~40種の花
8.天空の花園 ➡ システィブン
9.システィブン ➡ ゴレパニ
10.ゴレパニ ➡ ポカラ
11.ポカラ ➡ カトマンズ

お問い合わせ

ヒマラヤトレッキング・登山専門 サパナ

077-534-5469 または info@sapanatrek.com  担当 浅原

 

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